出した。アレを。

ついに昨日アレを出した。学位論文。

まぁ予想はしていたし、驚きではないが本当に穴だらけの論文だ。でも出来る限りのことはした。

いざ論文としてまとめだすと、そもそも与えられたテーマに論理的な筋が通っていない(単なる教授の頭の中の夢物語である)ことに気付いたり、始めの1年と半年に「チューター」という名のポスドクだったり「指導教官」という名の教授に「指導」されて行った実験がどれだけ不適切でバカバカしいものだったかを改めてシミジミと感じ、吐き気がした。結局姉さんが全てに気が付いて、このけんきゅーしつでまともに実験できたのは最後の4ヶ月だけである。

修論を書こうとして新たに愕然したことも沢山ある。

けんきゅーしつの皆さんが使っていたプロトコルが間違っていて、さらに、とあるポスドクが良かれと思って購入していた試薬も、けんきゅーしつで使ってる細胞株には毒性が強すぎることに気が付いて、残された少ない時間で実験系を確実に動かすための方法をリサーチして実験を行ったその一連の流れは、同じチームのポスドクの目に「○○(姉さんの名字)さんが色々頑張って条件検討した」という風にしか映っていないことも判明した。その「色々頑張って条件検討した」ことを論文に書けと言ってくるのだ。実験系が上手く動かなくて、でもその実験系が動かないと進まない研究をしていて、残された時間が少なくて、でも他の複数のグループが同じ実験系を用いた研究をしているのなら、それらのグループで上手くいっている方法に習うのは当然の選択だと思う(そもそもその実験系の構築は目的ではないし)。その結果判明したのがけんきゅーしつのプロトコル間違いと、ポスドクの試薬勘違いだったのだ。一体その顛末をどう書けと言うのか。

さらに愕然としたのは、そういったことを姉さんが指摘してきたにも関わらず、「指導教官」にはその一連の流れを、「姉さんが適切な細胞株を用いてなかったために実験系が上手く動いてなかった」と書くように言われたことだ。確かに姉さんが始めに使った細胞株はあんまりあの実験に向いてなかった。でもそれはこの話の本質ではなく、そもそも実験の原理すら踏まえずに日々の実験を行い「けんきゅー」を行っている研究員が多くいることが問題になるはずだ。普通なら。そして、そのような研究員を育てたり、雇ったりする側に責任があるはずだ。普通なら。

考え方に論理が通っていなくて、大した議論もなしに、感情論で物事が進む。

サイエンスが目的の集団だったら、今まで姉さんがショックを受けてきた物事の数々は起こらないだろう、と最近思うようになった。いや、ある意味気が付いた、というべきか。

姉さんがいるけんきゅーしつがおかしなことになっている大きな原因は、そもそもボスの興味がサイエンスではなく、サイエンスを通じて築き上げる名誉にあることなのだ。自分がどれだけ「偉く」なれるか、そのおかげでどれくらいの研究費を巻き上げられるか。

それを基準に研究テーマの吟味をするし、共同研究は自分が上に立てる場合しかやらない。よって、自分のけんきゅーしつを卒業した人達としか組まない。

一番恐ろしいのが、データの吟味までそのような視点で行われ、誰もそれに異を唱えないことだ。ポスドク達は、まるで偉くなりたいボスの奴隷の様に見える。彼ら自身の人生は一体どこへ行ってしまうのだろう。他のメンバーも、「意見を言う」ということをしない。このような環境は、やがては捏造の温床となるだろうし、もう既に起きている可能性もある、と姉さんは思うようになった。捏造が仮に起きなくても、サイエンスと呼べる所業ではない。

こういうけんきゅーしつに限って莫大な研究費を「当てる」のが不思議だし、遺憾でならない。研究費は、元を辿れば税金である。沢山の人が一生懸命働いて国に納める税金の、一般人から見ればとんでもない桁の金額分が、このようなけんきゅーしつに「投機」されているのだ。サイエンスにも、そこにいる人間のトレーニングにも使われることはない。文科省も、どのような組織にどれくらいの額のお金を落としているのか、あまり把握する気がないのだろうか。この世界には投資という視点はないのだろうか。まともな人がいるけんきゅーしつに限って、あまり研究資金をもらってなかったりするのはなぜなのだろうか。

純粋なサイエンスは税金の助けが無ければ成り立たないのだ。だからこそ、資金の巡りやその消費の仕方に関して、透明性が必要だと思うのだが・・・そのためには第三者機関による定期的な評価が必要だろう。

こういうことに気が付くと愕然とするし、修論を書く手は止まるけれど、知らなくてはならない現実でもあったと思う。理想ばかり見ていても、自分の方向性は定まらないのかもしれない。時には愕然とする様なイベントに出くわして、改めて初心に戻ることが出来るのかも知れない。

でもあのような環境があることを肯定するわけでは、決して、ない。なんか変だ。

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